2013年5月23日木曜日

ラリーコンピュータ rc-7 (LED)のご紹介

取扱説明書(新バージョン)


名称
「 ラリーコンピュータ rc-7 (nana) LED type 」



価格    : ¥22,800 (発売は中止しました。)
発売開始 : 8月 (発売は中止しました。)

 マグネット ・ センサー ・ リモコンスイッチは付属しません。
 Trailtech Vector用のものがそのまま適合しますので、別途お求めください。
 Vectorのセット一式を入手して、Vectorメーターをいざというときの予備にすると便利で安心です。

サイズ  : 縦40mm x 横130mm x 高さ25mm
重量   : 約170g (マウント含まず) 

2013年5月 四国・九州にて行われた Super Tour De Blueisland  にて、rc-7を装備した佐藤直美選手が総合4位に入賞しました。





現在、当モデルは耐熱性の高いCPUを使い、LEDの最大輝度を90%に絞ることでオーバーヒートを回避することができましたが、特に日中の視認性に関して私的に満足するレベルになっていないため、受注を中止しています。。。
どうしても欲しい方はご相談ください。




特徴

 ・林道区間や夜間走行での視認性を重視して、ディスプレイに7セグメントLEDを使用しています。(逆に言うとピーカンの市街地や砂漠など直射日光が当たる場所での視認性は良くないです。)
 ・トリップ1(km表示/100m表示/10m表示)、トリップ2(10m表示)、燃料トリップ(km表示)の3つの距離を同時に計測します。
 ・タンク容量と想定燃費をセットすることで、燃料トリップの値からガソリン残量と走行可能距離を計算します。
 ・コマ図ごとの距離修正を検知して、タイヤ周長を自動で補正する機能があります。
 ・あらかじめアラート距離を登録しておくと、その距離に接近したときに画面をフラッシュさせてライダーに知らせます。アラート距離は9箇所まで設定する事ができます。
 ・TrailTechのVectorと同じカプラーを使っているので、電源、センサー、リモコンをそのまま使えます。本体にスイッチはないので、リモコンは必ず必要です。
 ・四輪車に付けるときは、ナビ用の車速センサ配線(ピンク)を使えます(テスト中)。電源は12V~24Vに対応しています。
 ・KTMのEXC系はノーマルのセンサーを分岐させて接続する事ができます。ハーネスの加工はご相談ください。
 ・メーターの固定は、パネルマウントとRAMマウントが選択できます。RAMマウントなら、普段は通勤や林道に使っているバイクをラリー仕様に変更するときなど、脱着が容易です。今使っているVectorは緊急時のスペアとして残したままで、このメーターを利用する事ができます。


 ・1個ずつ手作りのため、仕上がりが微妙な部分や納期が遅い事もありますが、ラリーで便利な機能を一生懸命盛り込みましたので、少々の不手際はご容赦ください。



操作方法
メーターの操作は、Traitech Vector用オプションの、リモコンスイッチのボタンでおこないます。
 リモコンスイッチには3つのボタンが付いています。
 覚える操作は下の4つだけです。

1.基本の操作
[  ▲  ] 上    : 数値を増やします。
[   ■  ] モード  : 短押しで画面表示を切り替えます。長押しで画面モードを切り替えます。
[  ▼  ] 下    : 数値を減らします。


2.数値をリセットするとき
[  ▲  ]  上下を同時に押します。
[      ]    リセットされる数値が点滅します。
[  ▼  ]    そのまま2秒押し続けると数値がリセットされます。


3.減算(ミスコース)モードにするとき
[      ]  モードを押しながら下を押します。
[   ■  ]    「 bAck 」と表示されます。 (・・・kが苦しいが)
[  ▼  ]    減算(ミスコース)モードに切り替わります。走行するとトリップ1・2が減ります。
          画面全体が点滅して、減算モードであることを知らせます。


4.加算(オンコース)モードに戻すとき
[  ▲  ]  モードを押しながら上を押します。
[   ■  ]    「 GoGo 」と表示されます。
[      ]    加算(オンコース)モードに切り替わります。走行するとトリップが増えます。




画面モードの種類
画面モードには、「走行モード(R)」と「設定モード(S)」と「アラートモード(A)」の3つのモードがあります。


走行モード(R) の画面表示
モードボタン短押しで走行モードの画面表示を切り替えます。長押しすると画面モードが「設定モード(S)」になります。


R1.トリップ1

トリップ1を表示し、編集可能です。
トリップ1の表示方法は、起動時に▲ボタンを押し続けることで、以下の3種類から選択できます。

 1.速度 + トリップ1(100m単位)

 2.センサーイメージ + トリップ1(10m単位)

 3.トリップ1(10m単位)

トリップ1は、主にコマ図のトータル距離を表示する目的で使用します。
後述のアラート機能は、トリップ1に対して反応します。
999.99kmを超えると、0kmに戻ります。



R2.トリップ2

左側に速度、右側にトリップ2を10m単位で表示し、編集可能です。

トリップ2は、主にコマ図の区間距離を表示する目的で使用します。
99.99kmを超えると、0kmに戻ります。



R3.トリップ1(編集) + トリップ2

左側にトリップ1を100m単位、右側にトリップ2を10m単位で表示して、トリップ1が編集可能です。
オプションのリセットボタンを装着すれば、ワンボタンでトリップ「2」をゼロリセットできます。

コマ図毎にトリップをリセットして走る場合は、この画面でトータル距離を▲▼で修正しながら、
トリップ2をワンボタンでリセットできるので、便利です。
(リセットボタンを押しながら▲▼ボタンを押すと、トリップ2の距離を修正できます。)



R4.トリップ1 + トリップ2(編集)

左側にトリップ1を100m単位、右側にトリップ2を10m単位で表示して、トリップ2が編集可能です。

トリップ2にコマ図のトータル距離を表示させて走る場合は、100m単位のトリップ1が余るので、
CPやゴールまでの距離をマイナス距離でトリップ1に設定しておくことで、走行するにつれ
トリップ1(の数値)が減っていくため、残りが何キロあるかの目安になります。実際には加算される
のですが、距離をマイナスにしているため走行するとゼロに近づきます。
(リセットボタンを押しながら▲▼ボタンを押すと、トリップ1の距離を修正できます。)



R5.残燃料 + 満タン後走行距離

この画面では、左側に想定残燃料、右側に満タン後走行距離をkm単位で表示し、距離が編集可能です。

設定モードで想定燃費と燃料タンク容量を入力しておくと、満タン後走行距離と想定燃費から、
タンク内のガソリン残量を推測して表示します。ガソリンスタンドで燃料を満タンにしたら、
満タン後走行距離をゼロにリセットしておきます。




設定モード(S) の画面表示
モードボタン短押しで設定モードの画面表示を切り替えます。長押しすると画面モードが「アラートモード(A)」になります。
リセットボタン短押しで画面モードが「走行モード(R)」に戻ります。


S1.LED輝度セット

LEDの輝度を0~9で設定します。
夜間走行で眩しいときは、輝度を落とすことでライディングの邪魔になりません。
設定モードではこの画面のみ、表示したままで6秒操作しないと、走行モードに自動復帰します。
モードボタンの長押しで走行モードに戻るのが面倒なときは、輝度設定の画面にしておけば
勝手に戻るのでちょっと楽です。



S2.タイヤ周長セット

タイヤ周長をmm単位で設定します。
KTM690系など、マグネットではなくディスクのボルトを検知するセンサーに接続した場合は、
タイヤ周長を6で割った数値を設定します。



センサーがマグネットを検知すると、
LEnの後ろのハイフンが0に変わります。



S3.想定燃費セット

残燃料を計算するための想定燃費を設定します。



S4.タンク容量セット

残燃料を計算するためのガソリンタンク容量を設定します。



S5.周長自動補正設定

タイヤ周長の自動補正機能を有効にするか、無効にするかを設定します。
▲を押すと有効(on)になり、▼を押すと無効(off)になります。
自動補正機能が有効の時は、コマ図間距離が1km以上のときに、コマ地点で一時停止して「トリップ2」の距離をコマ図に合わせてからリセットするか、またはそのまま発進することで、調整した距離に応じてタイヤ周長を自動補正します。トリップ2をコマ図間距離で使っている場合は、コマ地点でリセットする前に、距離を修正してからゼロにリセットします。
ミスコースやルート変更などで大幅に距離を修正する場合には、それを判定して自動補正は行わないようになっていますが、誤動作を防ぐために、しばらく補正してだいたいコマ図と周長があった時点で、offにしてください。




アラートモード (A)の画面表示
モードボタン短押しで画面表示を切り替えます。長押しすると画面モードが「走行モード(R)」になります。
リセットボタン短押しでも、画面モードが「走行モード(R)」に戻ります。

アラートモードでは、コマ図アラートを9箇所まで登録する事ができます。
トリップ1があらかじめ設定したアラート距離に50mまで近づくと、画面がフラッシュしてライダーに知らせます。
アラートタイプは、r:右折、L:左折、c:コーションの3種類があります。_(アンダーバー)はアラートオフです。右折の場合は画面の右半分(赤色)がフラッシュし、左折の場合は左半分(青色)、コーションは両方(青赤)です。


A1.アラート距離(km)セット

この画面では「16」と表示されている部分を編集します。


A2.アラート距離(10m)セット
上の画面で「12」と表示されている部分を編集します。


A3.アラートタイプセット
上の画面で「L」と表示されている部分を編集します。
L → c → r → _ の順に変わります。

アラート1の設定が終わると、アラート2へ、次は3へと画面が切り替わります。

これはアラート2を16.88km地点で
右折に設定している画面です。
一番右の数字がアラート番号です。

アラート9まで設定すると、アラート1に戻ります。

50mの距離は、36km/hで走行中の場合で設定地点に到達する5秒前です。それより前でアラートを作動させたいときは、アラート距離自体を手前に設定してください。
翌日の誤動作を避けるため、アラートはいったん動作したら自動でオフに切り替わります。ミスコースしてトリップが戻っても2回目は作動しませんので注意してください。




トリップの保存タイミング

搭載しているメモリの関係で、メーターのトリップ情報はリアルタイムで保存されていません。基本的には車両が停止したらメモリに書き込み、電源が入ったときはそこで書き込んだ情報を呼び出しています。

そのため、走行中にイグニッションをオフにするなどで、トリップの情報がメモリに保存されていない場合、次に電源が入ったときに変な距離を表示することがあります。データが壊れるので走行中にイグニッションをオフにしないでください。いったん停車すればその直後にデータを保存するので、そのあとでイグニッションをオフにしてください。



視認性について

冒頭の特徴の所にも書きましたが、薄暗い林道やナイトランでの視認性を求めて作られたメーターなので、直射日光下では視認性が悪化します。輝度を犠牲にしてでもコントラストを高めるために、LEDにカラーフィルターを挿入していますが、背後から日光を受けてメーターパネルで反射するぐらいの角度ではけっこう見にくくなります。砂漠を走るような場合は、液晶ディスプレイのメーターをご利用ください。
そのかわり・・・ナイトランで空中に浮かぶトリップの光を見ると感動的でもあります。



防水について

各部をコーキングしているので、落ちてくる雨が当たる程度なら大丈夫です。

しかし、水圧のかかる憤流水に対しては浸水・ショートの恐れがあるので、高圧洗車機の水を当てたり、豪雨の中を高速で走行しないでください。雨天の場合は、前方からの水が直撃しないように、特にケース下側を中心にガムテープなどで簡易的にカバーを作ると安心です。

リモコンの防水については、TrailTechのVector用リモコンスイッチは、分解して調査したところ簡易防水になっていました。ボタンのように見える赤いゴムは内部でつながっていて、それ自体がパッキンの役目をしています。赤い出っ張りはストロークせずに、ボタントップが変形する事によって内部の棒を押して、基盤のスイッチを動作させています。

ただのゴムパッキンなので、やはり憤流水に対しては浸水があり得ます。防水性を高めるためには、赤い出っ張りの付け根をスイッチケースに接着するか、コーキングしてしまうと良いです。このスイッチは接着で組み立てられているので、どちらにせよ分解することはできません。ケースサイドや裏側の配線部分もコーキングがあると安心です。



ケースの裏蓋

ケースの裏にいくつかボルトが見えますが、これらをゆるめてもケースを開けることはできません。いったんゆるめてしまうと、内部で部品が脱落してショートする恐れがあるので、ボルトをゆるめないでください。
ネジロックはしていますが、いったん緩んでしまったら分解して締め直す必要があるので、修理に出してください。



命名について

「ラリーコンピュータ rc-7 (nana)」 rcはRally Computerの頭文字、7は、7セグメントLEDを利用しているので7です。アールシーセブンじゃなくて、アールシーナナと呼びます。学生のころ大変お世話になったRC-nonoとは名前が似ていますが関係はありません。偉大な先人に敬意を表して。



2013年5月17日金曜日

ラリーコンピュータ → スマホ → コマ図連携機能

ラリーコンピュータに新機能を追加できないかと、いろいろ思いを巡らせていました。最近の流行りはスマホなので、なにかスマホ連携できたら面白いなと。まだ実験中ですので実用化はほど遠いですが、ご紹介まで。未来のラリーコンピュータを想像してください。

1.ラリーコンピュータに通信機能を追加
  ブルートゥースでスマホとペアリング、走行距離やボタンの押下状態をスマホに送信する。

2.スマホに走行距離を表示
  スマホの画面には、送られてきた車両の走行距離や速度が表示される。操作はリモコンでも、画面のタップでもOK。

3.スマホにコマ図を表示
  スマホにはあらかじめ登録されていたコマ図が表示されていて、走行距離とリンクして自動でスクロールする。

4.コマ到着アラート
  コマ到着前には、画面をフラッシュさせて右左折の情報をライダーに通知する


さてここで、1はプロトを作成して確認しました。送信先はスマホではなくPCですが、ブルートゥースでペアリングしておけば、メーターからどんどん距離が送られてきました。

2は、んー、スマホのプログラミングの勉強中。

3はどうしよう。コマ図がPDFやエクセルで配布されれば、それを表示してスクロールするという方法もありますが、基本的には印刷物で配布されます。
じゃあ、印刷物のコマ図をスマホのカメラで撮って、それを表示すればいいでしょう。
しかし・・・





こんな感じのが小さい画面に表示されてても、読めませんよね。やっぱりコマの絵の部分がスマホの画面の半分~1/3くらいの大きさで欲しいです。

あと、コマに到着したら自動的にスクロールさせたいので、画面に表示されているコマがいったい何キロ地点のものかをデータで持つ必要があります。じゃあ全部入力する?マップをもらった朝に?
そりゃしんどい。

どうするか

 ・コマ図の写真を分析して、コマのイラストの部分と距離の部分を抽出する。
 ・抽出した距離はOCRで数値化して、コマイラストと関連づけて保存する。
 ・テーブル形式で整形して表示する。
 ・走行距離に応じて画面表示を更新する。

って具合ですね。

ということで、作ってみました。
スマホ上でデータ処理するのはちょっと大変なので、撮ったコマ図の写真をサーバーにアップして、サーバー上で処理を行います。処理が終わったら、データがダウンロードされるので取り込みます。

まずは分析。
スマホで撮った写真は、おそらく傾いています。まずはこの傾きを補正する必要があります。





サーバー上で画像をモノクロに変換し、コントラストをあげて分析しやすくします。
特徴点を結んで、画像の傾きを角度で取得します。(厳密に言うと樽/糸巻き/台形補正なども必要ですが、今回はやめておきます。)





画像の傾きが取得できたら、元画像をその反対方向に回転させて垂直な画像に変換します。





はい、適当に撮った写真も見やすくなりました。今回は説明の為に画像を1枚ずつ表示していますが、実際のプログラムでは中間ファイルは出てこずにいきなり結果がダウンロードされます。

次は、距離とコマイラスト部分の抽出です。
また特徴点を結んで、画面の何ピクセルの場所に何の情報があるかを調べます。コンピュータはそこにある画像の意味は分からないので、上から何番目、左から何番目のマスにはこの情報が書かれている、というのはあらかじめ覚えさせておきます。なので、コマ図のフォーマットがいままでと違う場合は、自動で対応する事はできません。





マッピングの情報が取得できたら、元画像に適用する事で画面の要素を抽出することができます。


 これとか、   こんな感じ


続いて、距離の要素をOCRにかけて、数字に変換します。

・・・しかし。ここでつまずいています。
そもそもWEBサーバー上で画像処理を1から10までというのはさすがに無理があるようで、うまく数字に変換できません。小数点が2に化けているのは桁数の推測からなんとかできますが、特に区間距離の識字が破綻しています。OCRのソフトに数字のフォントを学習させていて気づいたのですが、トータル距離と区間距離で数字のフォントが違う!!(ちなみにこれは昨年の北4のコマ図)
トータル距離と区間距離の両方を数字に変換して、上下のコマの差分と比較する事でチェックしようと考えていましたが、現状では無理ですね。トータル距離の方はなんとかかんとか取得できているので、もうすこしチューニングすればいけるかも・・・
ということでサーバー上で写真から自動生成されたコマ図がこちら




2列目にOCRで自動取得した距離を表示していますが、無茶苦茶。距離のところだけ目をつぶれば、そこそこうまくできてます。
データ化すればライダー間での共有は簡単なので、写真撮りとアップロードを複数人でおこなえばスムーズに変換できます。距離でページを並べ替えるのなんて簡単ですからね。
んー、複数のOCR情報があればより正確に距離の取得ができそう、ということに気づいた。

スマホ使わずに、ラリコンの液晶ディスプレイに直接コマイラストを表示するって手もありますね。さすがにWiFiまで積むのは大変なので、SDカードにコマイラストとその地点の距離を保存しておいて、ラリコンに挿すと。


いろいろ書いてきましたが、現状ではサーバーでの画像処理が重すぎて、ちょっと一般向けの実用化は難しそうです。1ページのコマ図をデータにコンバートするのに、30秒もかかってしまいます。コマイラストの切り出しやOCRをあきらめて、PDFをスクロールするくらいならできそうですけどね。

ちょっとおもしろそうな、未来の話でした。